高出力型静電モータとは

![]()
エネルギー問題や少子高齢化社会といったこれからの私たちの生活を支える技術として、ハイブリッドカーや電気自動車、介護や人の生活支援を行うロボットの開発が進められています。
そして、これらの製品を開発するためには、今よりも小型で扱いやすく、エネルギー効率が良く、高出力であるモータが必要不可欠です。
現在最も普及している電磁モータは高出力化に伴い重量が増し、発熱量が増すために効率が悪くなる特徴があります。これは、これからの自動車やロボットのモータとしては大きな問題となります。
弊社ではこれまで、MRIに代表される医療設備や超伝導実験設備など非磁性環境において有効なモータとして超音波モータを提供してきました。
今回開発した高出力型静電モータは超音波モータとは全く異なる技術により構成された新型モータです。
試作した高出力型静電モータ(以下ESM65-TR1)は同出力の電磁モータと比べ遙かに軽量であり、摩擦部や発熱部がほとんどないため、エネルギー効率は95%以上となります。またESM65-TR1はその特性上真空中で高い性能を発揮することができ、超音波モータと同様非磁性環境で利用することも可能です。
既存の静電モータとの違い
![]()
![]()
![]()
![]()
![]()
![]()
![]()
![]()
高出力型静電モータの特徴
高出力型静電モータの構成

高出力型静電モータはロータ(回転子)とステータ(固定子)、シャフトで構成されます。
ロータとステータには多数の電極が配置されていて、この電極に+
と-の電荷を帯電させ、その電極同士の引力と斥力によってシャフトが回転します。
電極に印加される電荷の+、-を切り替えるタイミングを制御する
ことで回転数を制御することが可能です。
高出力型静電モータの構成

※1 帯電した電極の引力、斥力によってモータを効率よく回転させるため、各電極は非常に高密度で配置されています。
※2 電極の本数が多いほどより高トルクが得られるため、各電極は円弧状に複数列、配置されます。
高出力型静電モータの動作原理

ロータ、ステータに装備された電極の帯電の状態を示すための
高出力型静電モータの簡易イメージです。
ロータは、ロータとステータに装備された電極の極性を切替えること
により回転します。ロータ、ステータ上の近接する電極の極性が
+と+、-と-は反発し、-と+の電極は引き合います。
この電極の極性をタイミングよく変化させることでモータの回転数や
ブレーキ、反転動作の制御が可能となっています。
実際の高出力型静電モータには電極が円弧状に複数列配置されて
いて、これら電極は全て連続的に切替えられています。

ロータの回転に伴い、ロータ上の電極の極性が変化します。

試作した高出力型静電モータ:ESM65-TR1の仕様
| 回転数 | 10,000 [rpm] |
|---|---|
| トルク | 0.1 [Nm] |
| 出力 | 100 [W] |
| サイズ | 直径65 [mm]、全長65 [mm] |
| 重量 | 200 [g] |
| 特長 | 高効率(低発熱)※95%以上! 真空中で動作可能 要非磁性環境で動作可能 |

![]()
ESM65-TR1と既存の電磁モータとの比較
高出力型静電モータ: ESM65-TR1
| 出力 | 100 [W] |
|---|---|
| 重量 | 0.2 [Kg] |
| パワーウェイトレシオ | 500 [W/Kg] =0.002 [Kg/PS] |

一般ロボットに搭載される電磁モータ
| 出力 | 120 [W] |
|---|---|
| 重量 | 2.4 [Kg] |
| パワーウェイトレシオ | 50 [W/Kg] =0.02 [Kg/PS] |
ハイブリッド自動車に搭載される補助モータ
| 出力 | 10 [KW] |
|---|---|
| 重量 | 40 [Kg] |
| パワーウェイトレシオ | 250 [W/Kg] =0.004 [Kg/PS] |
ESM65-TR1の動作実験
静電モータ: ESM65-TR1は装置中央のベルトに取り付けられています。
ESM65-TR1が納められているケースはESM65-TR1の周辺を真空に保つ役割を持っています。ESM65-TR1の周辺を真空に保つことにより高出力時にチリやホコリにって発生するスパークを軽減することができます。
SPEED METERにはモータの回転数が[rpm]単位で表示されます。
動作中の音は真空ポンプの動作音とベルトの先に取り付けられたプロペラシャフトの風切り音です。
この実験から、ESM65-TR1が安定した回転数を維持することができ、
回転数を自由に変えられることがわかります。






